篤があつしに変わるまで 0 『プロローグ』

 冒頭から自画自賛のようで恐縮ですが、私こと大村あつしは、IT書籍の世界で小さな成功を収めることができました。

 IT書籍というよりも、厳密には表計算ソフトのエクセルのマクロ言語であるVBAの解説書の売上は190万部を超えており「日本でもっともVBAの本が売れたライター」と呼ばれていますが、これは事実の可能性が高いと思われます。
 AmazonのVBAカテゴリーで1~3位を独占し、上位14冊に同時に9冊がランクインした記録も、今後破られることはないでしょう。

 ところがその一方で、私は2007年に『エブリ リトル シング』という作品で作家(小説家)に転身し、『エブリ リトル シング』は20万部のベストセラーとなって、中華圏(中国本土、台湾、香港、マカオ、シンガポール、マレーシア)、韓国、そして英語版と多くの国で出版され、2回舞台化もされました(2008年:井上和香さん、2009年:内山理名さん主演)。

 その後、『無限ループ』というミステリーも7万部のベストセラーとなり、それからは海外展開に力を入れて、一度ITライターを休業したりもしました。

 さて、そんな私ですが、当たり前ですが最初からITライターだったわけではありません。
 ITライターを目指す1年前などは、本当に食うにも困り、「さおや~♪ さおだけ~♪」でお馴染みの物干し竿を6月の北海道で売ったりしていました。
 北海道は梅雨がないので、6月でも物干し竿が売れるのです(笑)

 また、英語が話せるスタッフを探していると聞きつけ、富山県のホテルでホテルマンをしたりしていました。

 しかし、そんな私は、1995年の夏から、ひょんなことでITライターを目指すことになります。
 そして、このときの経験は、もしかしたらみなさまの想像を絶するものかもしれません。

「なんと要領の悪い馬鹿な奴」と思う方もいれば、もしかしたら人生観が変わる方もいらっしゃるかもしれません。
 いえ、そのような方が一人でもいらっしゃってくださればという思いで、今回『篤があつしに変わるまで』の連載を決意しました。

 苦しいときに自分を支えてくれるのは、過去の自分だけです。
 だからこそ、「若いときの苦労は買ってでもしろ」と言われるのです。
 私も、この10年間で何度か地獄を味わいました。

 2年がかりで準備して中国で本が出版されたその数日後に、時の民主党政権が尖閣諸島を国有化し、それに反発する形で中国国内で日本人作家の本はすべて発売禁止になりました(村上春樹先生の本ですら、です)

 こんな自分の運命を呪いたくなるような不遇の日々に対峙できたのも、ITライターを目指したときの七転八倒の苦しみを乗り越えた「過去の自分」がいるからです。

『篤があつしに変わるまで』は、登場する個人名や団体名は仮名ですが「完璧なノンフィクション」、「実話」です。
 物語に妙味を加えようとエピソードを「盛ったり」などは一切していません。

『篤があつしに変わるまで』を一人でも多くの方にお楽しみいただき、また、一つでもいいので「前向きに生きるヒント」を掴んでいただければ幸いです。

→ 篤があつしに変わるまで 1 『ストレス地獄』